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第 一 章  2 / 7 

< 入試入学の頃、歯学部とは何だ? >


< 入試、入学、明海大学とは? >


明海大の出発、城西歯科大である。 経済、外国語、不動産学部
増設され、総合大学へと成長した。

本部学舎、千葉県浦安市明海に在る。 歯学部も浦安へ行こうとした。
地元の歯科医師会、絶対に反対。 よって、双胴の大学とは、なった。


ワシは、浦安校で受験した。
東京駅から東西線、デズニーランドの次ぎの駅。 リックサックの親子で、
電車は満員だ。舞浜(デズニーランド駅)に着くと、すべて下車。

電車、ガラガラとなる。 君知るや、あそこの学生アルバイト、明海大が
多い。 ワシは、その一人に聞いた。


素行、規律がメチャ厳しくて、お客様へのサービス、第一です。 お客様に
如何にして、も一度来ていただくかに、全精力を掛けてるのが、ヒシヒシと

判るんです。 大学時代の四年間、講義で学んだ事より、デズニーランドで
学んだことの方が、絶対多いですよ。 なにしろ実戦だもの。


これ、デズニーの裏本にも出てない、情報。
学生たち、得難い経験、してたのだ。 今度デズニーランドへ行ったなら、
よお、明海! 声掛けるのも楽しいかも。


テストの日、(二月三日だ) ホテル出て大学。 途中コーヒー飲みたくなっ
た。 この辺、コーヒー飲めるとこ、有りませんか? ドトールそこです。
いえ、ドトールではありません。 コーヒー飲めるとこです。


だから、そこにドトールが在ると、言ってるでしょ!


ああビックリした。 大声出さないでよ。 こちとら田舎者、ドトール、知ら
なかったのよ。 トーストにコーヒー二杯。 ウイスキーは我慢した。

勘定済ませて店を出る。 大学まで800メートルだ。 冬の朝、
メチャいい気分。 だが待てよと、ワシは呟いた、


ワシと前後して、大学へ行く学生。同じ受験生に違い無いが、その身なり。
手垢に汚れたオーバーだ。 こんなんと六年間、一緒かいな? 思う内、
大学へ着けば、経済学部の方、右へ。 歯学部は階段。 登ってみれば

心配無用、良い物着てる学生、わんさか集合だ。


< 歯学部は収入で、人間を、選別する所? >


まるで人間の選別だ。 身なりの悪い方、右へ。 トロリ、良いおべべの方、
階段。 ワシ、予備校の言葉、想い出した。

歯学部は、金持ちの坊ちゃま、お嬢ちゃまの世界ですからね。苦労しますよ。
六年間、言う程の苦労は無かった。 しかし良く見ると、違う。

合格祝い、四百万の外車、買ってもらいました。入学金、900万の他、
ですよ。


明海大歯学部の入試、二科目である。 英語は必修、数学、物理、化学、生物
から一科目。 作文と(論文のレベルではない)面接。 レベル、センター
試験の三分の一くらい。 午後二時には終り、飛行機で夕方、小松に着いた。

明海大歯(は)を、これから受験する学生へ。 面接は形式よ。 リキ(力)
入れるんじゃ無い。 これで稼ごうなんて、考えてはいかん。 君はなぜ、

当大を選んだの? と聞かれたら、学費一番安いんで、親に泣きつかれました。
なんて、言うとれば、ええんじゃ。


ワシと一緒に面接の学生、身障者歯科への情熱、とうとうとブチやがんの。
併願は? と聞かれて、神歯(じんし:神奈川歯科大)です。
あそこ身障者歯科無いよで、しどろもどろ。

だから言わん事では無い。 風呂敷、広げるんじゃない。 参考程度、なんだ
から。 他の大学は、知らんよ。ウチの明海は、その程度。点数つかない。
チェックのみ。


 *      *      * 


驚くべき事に、このワイが一般入試、 一番だとさ。
東大、京大の一番なら、いざ知らず。 ワイが一番と聞いた瞬間、ヤッパこの大学
アホ大やわ、と思った。

予備校に拠れば、日本馬鹿歯科大(日本馬鹿四ヶ大)に、わが明海大歯学部が、
入ってるそうな。 しかし事情通に拠れば、その予備校は間違い。 下位四校は
かくの如しだそうだが、そりゃあ書けないよ。


テストの合間だった。 ワシは五階に居たんだが、トイレ満員、長い列。
エレベーターで一階へ降り、トイレ済ませて、五階へ戻ろうとエレベーター
あっと驚いたね。 受験生、使用禁止!

そう言えば、エレベーターには解答用紙の束、抱えた先生、何人も乗っていた。
ワシ、ハハハッと、快笑だ!。

漱石の坊ちゃん、道後温泉じゃないか! (ここで泳ぐべからず。の看板を
出された) さいさき良し。 こりゃあ、本のネタになるぞ。


驚いた事、もう一つ。 時間待ちの学生、五階のフロアーで煙草吸う。 その
煙、濃い霧の如く、学生の姿、見えんのじゃ。 煙の下に、足が何本も見える。
あれには、呆れた。 あんなにすごい煙草の煙、後にも先にも見たこと無い。

ワシ最初、松本歯科大を考えた。 長野県塩尻市、スキー場の近く。 冬は
こたえられんな。(スキー三昧が出来る)

予備校が言いまんねん。 久治良さんって金持ちなんですね。 なんでや?
だってあそこ、学費5200万ですよ。 寄付金、学債、有りますよ。

ええっ! それホント? 知らなかったんですか? 知る分けない。
そんなに掛かるんかい。 じゃあ一番安い所は? 明海大です。 なるほど。
てなワケでワシ、明海大歯(は)に変えた。


明海大の学費、2900万、実習費300万、書籍代40万くらい。 生活費
ワシの場合、年150万、六年で900万、合計4140万じゃ。 しかし

教科書、まったく買わん者が居る。 実習費(道具代)先輩からのお古の者
何名か、居る。 金持ってる奴ほど、汚い。


< 昔の学生は、可愛かった >


諸君等、是をどう思う? 親の仕送り全部飲んで、教科書無し、道具無し。
ある時、田舎からご両親、級友に一日だけ教科書借りて、アパートに飾り、

次の日、これを返した。この飲ん兵衛、今大成功しとる。教科書貸した人、
今、ウチの教授だがや。(私の大学の教授です)

パチンコ狂、マージャン狂も普通で、当時、近所のパチンコ屋、ウチの学生で
持ってたそうな。


ワシ、遂に判らんのは、教科書読まず、講義、聴かず、ノート取った事なく、 マンガ読むか、居眠りしてた学生。 留年もせず、ストレートで卒業して、
一発で国試合格。 こりゃあ一体、何ぞなもし? 歯学部の講義、いらない。

教授クビ。 受験参考書あれば、ライセンス取れちゃうのだ。 あれ見ると、
ワシの六年間の努力、寿命を縮める程の勉強。 一体、何だったのか? と、
泣けてくる。


この本で、少しは憂さ(ウサ)、晴らさんと、思う。


 *    *    * 



< 入学一ヶ月、卒後の進路を決める学生。 >


まだ四月だぜ。彼、十九歳じゃあないか。
ボク卒業したら、近所のA歯科医院へ、行くつもりです。

そりゃあスゴイ。入学一ヶ月で将来の進路、考えるなんて立派だよ。
そこ、娘しか居ません。歯学部行かないって言ってるんで、ボク病院、

貰います。 オイオイオイ! 考え甘いぞ。 君、赤の他人だろ、くれやし ないぞ。 金出して買え、言うぜ。 娘一人、貰えば良いのに、それなら病院、
付いて来るかも。 


するとだ。 彼、顔しかめて、あそこの娘ブスだから、嫌なんだって。
大笑いした。 しっかりしてんだか、夢見てんだか、判らん年頃だ。


 *      *      *


大学の学食(学生食堂)、坂戸も浦安も、一般の人に解放。 オープンだ。
大学病院来て、昼飯、学食で喰って、一階軽食でコーヒー飲んで帰るのが
良いと、言うんだが、実行する人、少ない。

大体、学生の半分、学食では無く、隣の城西大へ行く。
ウチ七百名、あちら一万? だもんね。 あっちの学食、大きいのが五つ
も有る。 明海は一つ、勝負有りだ。


学生の一部は、正門前のコンビニ。 弁当は良い。
問題は、菓子パンとジュースの子だ。 口の中、ドロドロだぜ。 見てると
気分、悪くなる。

ある教授、日本からコンビニを、無くしてしまいたい。
コンビニは確かに便利だけど、いけない食生活の、発信地でもある。
ドロドロの昼ごはん、止めた方が良いよ。


 *      *      * 


< これが大学か? これが歯学部か!? ジジイの嘆き。 >


私語、私語、私語、私語、私語、私語を止めろおおおおっ!
絶叫したくなる。
寝てる学生、まだ良ろし。レポートに余念の無い学生、邪魔にはならぬ。

問題は、私語じゃああ! 教室私語で、ワンワン。 騒然としとる。
馬鹿みたいな笑い声、講義と無関係に起こる。 最初の一年、我慢した。
卒業までの六年、止むことは無かった。 


山本歯学部長みたい、怖い先生だと、シンとする。 君ら汚いぞ。
山本先生の前で、私語してみろ。

舐められた先生、災難だ。 教室、爆音のごとし。
マイクの声、聞き取れぬ。
これだけは、参った。


全滅の授業と言うのが有る。 教室全員、お寝んねだ。 静かは良いけど、
やっぱ、どうかと思う。

ある時先生、黒板にビッシリ書いて、熱演だ。 ワシいつも、最前列。私語を
避ける為。 様子が変なんで、振り返ったのだ。 アッと驚く、為五郎。
教室全滅、全員、頭ペタン、机に付けて、お寝んねだ。

この光景は、魂消たね。 しかも先生、少しの手加減も無く。授業を続け
られた。 これが本当の、教師魂だ。 感激した。


或る授業、最初の三十分、私語うるさくて、講義、耳に入らない。
やっと静かになったと思い、後ろ振り返ると、十五名の学生、全滅。

先生、立て板に水のごとき講義、ビッシリ90分。
この時は、あきれた。 ワシ以外、全員寝とんのよ。 一年間この調子、

少しの弛みも無い。 この先生、失礼ながらオツム、大丈夫かいなと、心配
した。 これ位の神経が無いと、我が明海大、生きて行けないのだ。


中にはこれに、戦いを挑む先生が居る。 一年生物、A先生。元校長、情熱
家。 息子さん、国立大医学部の医者。 プリント山ほど出して、寝てる学生
私語の学生、ビシビシと叱る。授業が生物なんで、話題の合間、

ウチの医学部の息子なんかは、ここの所、こう解釈してます。 なんて合いの
手が入る。 親孝行の息子さんに、拍手うううう! ワハハハハッ!

先生の出されたプリント、製本して今、ワシの本棚にある。 大切な思い出。
記念品。 ときどき、手に取って見る。


おなじ一年の化学、元校長で昔の学習院大卒。 愛称、男サザエさん。
お父さん、坂戸農協の理事だった。 今、坂戸市役所のある所、農協で巴
(ともえ)にしようと決まったのに、お父さん登録に行って、千代田に

しちゃった。 天皇陛下のお住まいと同じだから、有難いだろう。
と、お父さんは言うのだが、奥さんの名前、千代子。
あれを取ったに違いないと、もっぱらのウワサ。


この先生の、出席取りで爆笑した。
寝てる学生の所へ来て。 お寝み中、誠にスミマセンが、出席票にご記入願い
ます。 周りの学生、ニタニタ、クスクス。

学習院大では、皇族の方とご学友。 スポーツ大好き、ヤマケイ(山と渓谷社)
から出とる、上越の山々の本に、書いたことも有る。

授業の初め、プリント配るの忘れて、五ページを開いてください。
先生、プリント有りません。 プリント机の上。 先生、真っ赤になって恐縮。
教室、大爆笑。 男サザエさんの本領発揮。 愉快な先生だった。


< き、君は、凄腕の歯医者に成れる! >


出席カードのイカサマ。 大学なら、何処にでも有る。
スゴイのが居て、ニセモノのカード、作るのだ。 先生、日によってカードの
色、変える。 学生、全ての色を用意する。 判子はコピーで偽造する。

ワシ、見せてもらった。 カバンを開くと、赤、黄、緑の出席カードで
一杯だ。 ワシ思わず、君はスゴ腕の歯医者になれる! と言ってしまった。


代返の下手な学生、ありゃあ、駄目だね。 声色(こわいろ)を使え、言うの。
下手な代返、ブーイングが出るんよ。 学生、笑うんよ。
代返も芸の内、笑われては、お仕舞いだ。

二年次の英作だ。 教室二十名なのに、返事三十二。 先生、何回出席取って
も、実数に合わない。 ついに諦めた。

学生ニタニタ、腕を上げたな。



* 次の段では、歯学部の人間で無いと、絶対に判らん情報、集めた。

                面白いよ。



*      *      *


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