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第 三 章  *  4 / 6  

< 過去問題、流通の怪 >





< インプラントの、書かずには居れぬ、品々 >


我が大学病院。 毎月の売り上げを、先生ごとの集計で、公表する。
売り上げの少ない先生、身の置き所が無い? かと言うと、そうでも無い。

歯内療法学の先生、押しなべて少額。 歯の神経を抜く作業、保険点数、
メチャ少ない。 開業医など、どうしても手抜きになる。


売り上げの、一番多い先生。 インプラントを打つ口腔外科の先生。
月商、二千万円以上。 年間二億四千万円だぜ! しかもインプラント、
口腔外科、難手術の、合間合間のアルバイト。


それでこの成績。 インプラントの威力、やはりスゴイ! 我ら、手術の
見学の日だった。 たまたま、この先生のインプラントだった。

ワシ、隣りの学生に話し掛けられたんで、横向いて、返事してたら、その
わずかのスキ、植立(しょくりつ)手術、お仕舞い。 この間十分だぜ。

思わず、な、何んだあ? これで百万? ぶったくりだぜ!


患者、全身麻酔でおネンネ。 目が覚めれば、出来上がり。 局所麻酔では
怖い患者。 全身麻酔。 大学病院、専門の麻酔医が居る。

麻酔ばかりの、麻酔屋だ。 これなど、開業歯科医。 真似、出来ない。
骨に穴、明けるのだ。 音(おと)聞くのも嫌の患者、全身麻酔で行く。


大学の先生の中には、必要な時だけ大学に来て、それ以外の時間、ご自宅
の診療所。 インプラント、打ちまくりの方、居られる。

打つ本数、大学の口腔外科と同じと聞いて、思わずワシ、スゲー! それ
本当か? 言ってしまった。


だとすると、その先生の年収、二億を超える。 その先生、大学では、イン
プラントの、いの字も言わん。 深く静かに、潜行してんだ。

ウウムだよ。 教授に昇格する時、この点を非難され、教授会が一回、この
先生の教授昇格、否決したそうだ。 むべなるかな。


しかし結局、資金力が物を言ったか? 言わなかったか? そこは知らんが、
次の年この先生、教授になられた。 今もインプラント、打ちまくりと聞く。


 *     *     *


ウチの口腔外科。 第一には六十名もの局員が居る。 普段は二十名位、
医局で働いておる。 残り四十名、年に一回、何かの折に集合する。

集まれば大講義室、一杯になる。 こんなに居たのか! 魂消てしまう。
口外(こうげ:口腔外科)に籍(せき)置いて、この先生方は、普段、


何をしてるのか? 勤務先、医局から配当されて、関東一円、開業医の所へ
出稼ぎに行っとる。 腕の立つ先生、日給十五万!

諸君ら、思わず、日給十五万? と、素っ頓狂な声、出なかったか?
週五回、これだ。 月給幾ら? 年収いくら?

計算しようとして、指が震えて、電卓のキー、押せねえよ。
なるほど、これなら医局、繁盛するはずだ。


これでインプラントが打てたりすれば、どないな事に、なるか?
絶句、しちまうぜ。 我が口外(こうげ)の嶋田教授など。

日本全国から、来てくれ! インプラント、打ってくれ! 打ち方、教えて
くれ! の、お願い。 引きも切らずの、超売れっ子。 


 *     *     *


< 嶋田教授、一席ぶつ >


先日ボク、京都大学、医学部の先生に頼まれて、インプラントの講義、
して来ました。 コンピューターの機嫌が悪くて、プロジェクターが

出ない。 スライド無しの講義に成っちゃって、つまらんかったですね。


ボク、この手の講義、頼まれる度、虚無的に成るんです。 1980年代
ウチの大学。 日本の歯学部では最初に、打ち始めた話は、以前しましたが

あの頃のインプラント、評判が悪くてね。 インプラントは止めろ! が、
歯学部の大勢でした。 そんな中で、ウチだけインプラントでしょ。


滅茶苦茶、言われました。 それが今じゃ先生、先生でしょ。 教えて下さ
い、教えて下さい。 ですからね。 嫌になります。

ボクの気持ちを、コンピューターも判るらしく、 今日はやだな、と言う日は
ちゃんとヘソ、曲げて呉れます。 彼はボクの第一の戦友、ですからね。


先日は群馬県から頼まれて、打って来たのは良いんですが。 帰りの関越、
ボクのBMW(BMWにもピンからキリが有って、教授のは日本に数台しかない

キリの方ですんで、お間違えの無きように)、花園辺りで火を吹きましてね。
会社に電話したら、すっ飛んで来ました。

(我らが電話しても、来て呉れませんよ) ボク、平均時速、二百四十キロ
かな? 日本じゃこれ以上出すとヤバイんで、自重してますが。


その点、ドイツは良いですね。 スピード、無制限でしょ。 ボクのBMW,
日本に来て、後悔してんじゃ無いか? 思ったりしてます。

今のBMW、何台目かって? 良く覚えて、ません。


こんな台詞(せりふ)、死ぬまでに一回、言ってみたいね。


ある実習でした。 女の子とおしゃべり。 彼女、毎朝、彼の車で練馬から
鶴ヶ島.坂戸インターまで来るんですが、


教授の車、黒い稲妻。 ピューンと追い越して行きます。 わたし、いつも
その時のスピードメーター、見るんです。 百八十キロ!

百八十キロの車、教授は、ビューンと追い越すんです。
黒い疾風。


想像しただけで、絵に成る場面じゃねえか? こんな教授だから、
講義の最初、凝りに凝(こ)って、スライドの出だし。

宇宙からのスターダスト。 彼方からブロマイドが一枚、宇宙船みたい。
回転しつつこちらへ、飛んで来る。

学生、何んだろう? 身を乗り出して凝視する。
な、何んじゃあ?  嶋田教授、斜(はす)に構えて、こっちをニマッ!


見てる姿じゃないか! 講義室、大爆笑! 二度目からは、ため息まじり。

教授は、スターだよ! ったく! もう!


 *     *     *


(ここ、前段の続きなんだ。 前段、見て無いと、判んねえ)

こんな訳で、インプラントを打てる様に、成りたい向き、明海大学、歯学
部、口腔外科外科では無く。 歯周病科の申(しん)教授のドアを、叩く

のも、選択肢の一つ。 口腔外科、なかなか打たして呉れない。 口腔外
科の本業、講座名の如く、口腔領域の外科処置だから、インプラントみた


い、チマチマシタ手術。 領域、分野の一つに過ぎんからだ。 このチマ
チマした手術の語は、故山本歯学部長の弁。 

開業してる歯科医師なら、講座を受講して、インプラント医を、目指す。
その手の講座、五万と有る。 吟味して受講せよ。


蛇足ながら、打てる様に成ってる開業歯科医。 そこへ入門して、インプ
ラント医を目指すの、考えもの。 ワシ、それで打てる様に成った先生、
見たこと無い。

インプラントを、盛んに打ってる開業医に、打てる先生、これまでに何人
育てましたか? 聞いて、返事できた先生、一人も無い。


みんな嫌な顔した。 つまり、教える教えると言いながら、教えないわけ
だ。 この点、用心せな、あかん。


 *     *     *


山本先生が、インプラントの研究を始めた理由。 手術で顎の切除をする。
顎の骨、再建した患者、生活の質の向上が、目的だった。

こんな患者の入れ歯、クシャミすると、飛んで出る。 それより、何より、
サッパ噛めない。 情けない生活とは、会い成る。


インプラントが有れば、再建で腸骨(ちょうこつ:こしの骨)を入れる時、
最初からインプラント、打ってしまう。 それで再建する。 患者。


先生、噛めます! 噛めます! 言うんじゃよ。 患者、感激して泣き出す。
こんな患者にこそ、インプラントは福音だ! 希望だ!

故山本歯学部長のインプラント、こんな患者の為に、研究された。

学生、歯科医師は、インプラント、イコール、金儲け。 と違う動機。
山本先生、ご自身のインプラント。 金儲けには、使われなかった。


山本歯学部長、銅像に値する。


 *     *     *


我ら臨床実習の折、四十台の婦人の患者さんを、見た。

彼女、中学二年、エナメル上皮腫で、下顎の半分を切除。 腰の骨で再建。
山本教授、この患者が、インプラントの最初。


今の時点で拝見すると、如何にも大袈裟なインプラント。 しかし彼女の
口の中で三十年間、立派に働いて来た。

月に一回、来院されて、インプラントの検査と、清掃をされる。 結婚も
出来た。 二児の母である。


対応のA教授、山本教授の直弟子。 嶋田教授と双璧を成す先生。 こんな
話をされた。

実はね。 この患者さんと一緒に、もう一人、同じ疾患の女の子が、居たん
だよ。 手術で顎の骨、無くなると聞いて、その子、人生を悲観して、自殺
した。 ボク、声を大にして言いたい。


インプラントがある。 悲観しては、いけない! と。


余り知られてはいないが、顎の骨の病気や、事故で歯が駄目になった患者。
インプラントで、噛めるようにする為に、明海大へ来られる。

入れ歯は、噛めない。 こんな患者にとり、インプラント、感激もの、なの
だ。


山本歯学部長のインプラントは、この様に、外科手術で、生活の質の落ちた
患者を、救う目的で、始められた。 たまたま世が、インプラントに成った

ものだから、注目されてはいるが、先生は、意に介せず、金儲けに走る
ことも無く、淡々として打ち、粛々(しゅくしゅく)として世を、去られた。


古武士の風格とも、言うべし。



< 過去問、流通の怪 >


過去問にはワシ、うらみさえ、覚える。

前回、前々回の試験問題が、答えと共に、一部の学生に、流れる。
一部の学生だ。 当然、ワシなんか、素通りだ。


出所(でどころ)部活と言われておるが、定かでは無い。 先輩が後輩に、
ダンボール箱一杯、コピーした過去問を、ドバーッと渡す。 中間テスト
九月、期末テスト二月、過去三年分の問題、引っ張り出して見て置けば、


授業、まったく聞かず、マンガか居眠りでも、パス出来る。 卒業、過去問
で、オーケーだ。 ついでに国家試験、これまた過去問で、事足りる。

言っちゃあ何んだが、授業なんか、クソ喰らえだ! 意地張って、過去問見
ずにテスト、受けたりすると、マンガ読んでた坊ーやに、負けてしまう。


クソッ垂れ! と、罵り(ののしり)たくも、なる。 
この過去問、手際よく入手する目的で、部活に籍を置く学生も、出る。

部活に入って無い学生、入ってる学生から、貰う。 貰うためには、仲良
くせねばならん。 弁チャラも必要になる。


大学は客観的に、全員に配布しよう、なんて気は無い。 ある学生の話し。
昭和大学歯学部では、有料で販売しとる、そうな。 先生、ウチでも

したらどうですか? ワシ、提案したこと有る。 笑われた。
何んで笑うんじゃ? 何が可笑しいんじゃ? テメーら、見識ないぞ!


一年次だ。 夏休み明け。 初めてのテストだ。 ワシ過去問の有る事さえ
知らなかった。 授業の範囲、やたらに広い。 どこが出るか、判らん。

必死で勉強したが、結果は散々だった。 寝とった奴に、負けた。
何んでじゃ! 徹底的に勉強して、何んで負けるんじゃ?


この叫び、ある学生にぶつけた所、過去問、見ましたか? 過去問? 何ん
じゃいそれ?

ワシが、過去問を知らんのに、学生驚いて、シーラカンスでも見た様な感じ。
じゃあ、期末テストの分、上げますよ。 貰ってしまった。


ワシの純潔。 この瞬間、犯された! なるほど、これが有れば、ノート、
無駄骨だ。 これ持ってれば、鬼に金棒(かなぼう)だ。

中間テスト、これが有れば、ワシ、満点だったのに。


過去問を持つ、その上で猛勉する。 成績優秀者になる。 上位十名には、
表彰の盾(たて)が、歯学部長から直々に、授与される。

ふざけた話が有ってね。 昔はこれがメダルだったのだ。 オリンピックの
メダル同様、名前は彫って無い。 だから、売れたんじゃ!


一個、五万円くらい。 六個揃えて、五十万から、ひゃ、百万円だってさ!


諸君らの近くに、明海大(昔は城西歯科大)出身の歯医者が居て、成績優秀
者のメダルなんか、ぶら下げてるのが居たら、顔と見比べて、疑って見よ。

百万で買ったクチかも、知れんぜ。

この弊害、余りに酷かったんで、流石の大学。 メダルは止めて、名前の
彫れる、盾に替えた。 噴飯物(ふんぱんもの)だよ。


過去問が来ると、元気百倍。 ワシ一年次の成績優秀者。 問題出す方は、
過去問を見てるものとして、出すから、時として、講義で話さ無い内容を、

問題にする。 過去問があれば、なんの事も無いが、過去問を持たないと
手も足も、出ない。


当然ながらワシ、主義により、学事課へ抗議した。 何んじゃいこれ?

過去問出すなら出すで良い。 その代わり、全員に分け隔て無く、平等に
配布しろ。 現状、いやらしぞ! こそっと、仲間内だけの流通じゃ。


恥を知れ! ここは歯学部だぞ。 テメーら、こそ泥みたい歯医者を、
作る積りか?


大学、とんでもないオッサン、取ってしまったと、後悔したんじゃないか
と思う。 当然ながら、反応無し。 そんな事、初めて言われたと、
驚いとる。


可笑しな事も習慣に成って、神経、麻痺しとんじゃ。


 *     *     *


テストにも、過去問、大いに利く場合と、さほどでも無いのが、有る。

過去問が無いと、手も足も出ないテスト。 たとえば解剖学、問題は百問。
この内の九十問、過去三年間の問題と同じ。 つまり過去問、そのままだ。

過去問を使わないと、全問オリジナル。 文章長いから、読むだけでヘト
ヘト。 制限時間九十分では、解答できない。 当然ながら、結果散々。


このテスト、九十分。 早い子、何んと、二十分でお仕舞い。 三十分経過
しない内、外には出られない。 カバンひざに置いて、時間来るの待ってる。

こっちはまだ、二十問だぜ。 開始四十分。 会場、ワシ入れて三人。
残り全員退席。 後で聞くと、残った学生、怪我で入院。 過去問、貰い損


ねたそうだ。 も一人は、貰ったけど、見もしなかった。 この手のふざけ
た学生、意外と多い。 再試でないと、その気になれん、そうだ。

贅沢者(ぜいたくもの)め。 ワシは合格こそ、したが、成績順位、問題外。
最高点九十八点。 女の子。 過去問持って真面目に勉強すると、こうなる。


真面目でも、ワシみたい、ヘソ曲がり。 あかんのだ。

一時間が過ぎた。 先生方、早く帰りたくて、その辺をウロウロ。 残り
ワシ一人じゃないか。 まだ十問残っとるが、居た堪まれぬ雰囲気。

退散した。 図書館で残りを解いた。 過去問を使わないと、こうなる。


五年次の中間テストも、ひどかった。 授業とテスト、内容が別だ。
過去問の通りに出るから、過去問が有れば、授業なんてクソだ。

マンガ読むか、居眠りしてた学生に、完敗する。 問題と答えの解ってる
学生には、勝てない。


この時こそ、負けた。 意地を張るのも、大概だと思った。 テスト落と
すと再試、二千円。 過去問使わないと、損をする。


 *     *     *


この過去問に付随して、もう一つ、問題が有る。 テストの情報だ。
ある時、女の子たちの話、聞いて、顎、外れた。

今度のテスト、薬品の副作用の、ここの所から出るわよ。 本当かい?
本当よ。


  過去問持って、こんな情報まで知ってる学生に、テストで勝てると思うか?
日本は、アメリカに負けるはずだ! 情報の桁が、違う!

こりゃ、あかんと、ワシは観念した。 ワシの成績、知れたもの。
しかしワシのは、過去問、使わずの成績だぞ! 悔しいから、たまに十番内
でも、表彰式の日、行かない。 抗議の積り。


あいつらのは、過去問じゃないか。 一緒にして、くれるな!


厚生労働省、文部科学省の皆さん、こんな歯学部で良いんでしょうか?
大学も中味を、見直すべきじゃ、無いでしょうか?

授業、まったく聞かず、ノートも取らず、マンガか居眠りの学生、ストレー
トで卒業して、国試に合格する。


もっといかんのは、この手の歯科医師の方が、開業すると羽振りが良い。
患者の受けが良い。

世の中、間違っとる! 思うのは、ワシ一人では、あるまい!


 *     *     *


五年次の終りだった。 廊下で今の歯学部長、中嶌裕教授に、バッタリ会った。

先生よ。 六年次は国試の模擬テスト、三十回あります。 去年の過去問が、
一部の学生だけに、出回ってる様です。 この不平等、何とかなりませんか?


中嶌歯学部長は、答えられた。


昔は学年ごとに、音頭取るのが居てね、誰かに情報が流れると、彼の手で、
その情報、パアーッと全員に流れた。 漏れる(もれる)学生が居ると、
世話役みたいな学生が、個別に知らせたものだった。


いつ頃からだろう? 今みたいに、流れなく成ったのは? 教授室へ女の子
が来る。 わたし達、学年を代表して来ました。 みたい顔してるから、次
のテストの情報、話したりすると、大変だ。 まったく流れない。


テストも回収して、絶対外に出ない様にしてるのに、必ず誰かが持っている。
昔なら音頭取りが、クラスの全員に配布したが、今は何人かの仲間内にだけ
流通して、それ以外、まったく知らない。


これはもう時代現象だからね。 議論しても始まらない。 去年のテスト、
三十回分。 教授会からキチッと配布する。 学生の良識を、待ちはしない。
公正に行くから、待っていてくれ!


中嶌歯学部長、この様に言われ、その通りに、実行された。 これを公正と
言う。


 *     *     *


二十九期、六年次のテスト。 かくして、文句無く、公正だった!

強いて言う。 これを全学的に、実行してもらいたい。


それにしてもだ。 過去問の流通、見てるといやらしい。 持ってるのに、
本当の仲間にしか、渡さない。 遠くから見て、仲良しに見えても、

過去問の受け渡しになると、本当の仲良しにしか、渡さない。


いやらしいと思わんか? 目の前で、ある人には渡し、ある人には渡さん
のだ。 昔なら思わず、汚ねえ野郎だなあ! 声が出る。


だけど今の子は、汚いと言う言葉自体、意味を成さない。
そして、こんなのが歯科医師に成るんじゃ。


共通の美意識が、無い。 感覚的な好きと嫌い、優先する。 感覚的に
合うか合わないか、これだけが、問題だ。

世界観とか戦略とか国家的進路なんて、関係ない。 チマチマした、身の
回りの感じのみ。 これ国民的、民族的、退化だ。


 *     *     *


< 詳しい事は、くじらの雑誌、育児編を見よ >


この大学、歯学部の学生、金持ちの子弟である。
日本は育児、下手。 教育、特に金持ちの子弟の教育、いよいよ下手。

日本の金持ちを見よ。 金持ちの子弟の教育、ノウハウ、有るか?
伝統的(金持ちの子弟の為の)教育システム、日本にあるか?


日本の金持ち、子供にお金、使うだけ。 思想、無し。
金持ち三代続ずかずを、地で行くのみ。


昔は金持ちも居たが、それ以上に貧乏人が大勢居て、昇る者、下る者、盛ん
なる者、衰退する者と、火の上の鍋のごとく、水は循環して浮く者、沈む者
色々だった。

しかるに現代、日本全体が、豊かになったものだから、日本全体で、金持ち
三代続ずかずを、しておる。

残念ながらワシ、2050年を底に、日本、まだまだ衰退すると、見る。


時代が変わったんだ。 明治の学校制度、変えなきゃいかんのに、制度の利権
がんじがらめ、だから、動かない。 動けない。

日本の国内だけなら、これでも良いが、競争相手、世界だから、困るのだ。
日本人の若者、70%、お母さんにペッタリの幼児期。 人生の最初の部分。


取り返しの付かぬ精神構造。 死ぬまで引きずらにゃ、ならぬ。 土台がこれ
だから、その上に教育、載らんのだ。 学級の崩壊。 当然の現象。

成長の基礎。 お母さんとペッタリでは、大事なもの。 構築、出来んのよ。
基礎の無い所へ、教育の建物。 建つかいな。

日本、えらい未来が、待ってるかもよ。


この大学、金持ちの子弟。 お母さんに、ペッタリ可愛がられて、感覚、おか
しく成ってるのが、二三名。 無きにしも非ず、なんじゃ。


言える事は、こうだ。 お母さんは、お母さんに成れるけど、お母さんと
同時に、先生には成れない。 育児に失敗するお母さん、かなりの部分、

先生に成って居る。 子供、お母さんが居なくなるんよ。 お母さん、先生
に成ってはいかん! なのにお母さん。 先生に成っちまう。


お前を生んだのは、わたしだよ。 お母さんは、そう思うから、先生の役と
お母さんの役。 両立すると、勘違いすんのだ!

一番ダメなお母さん。 早く行って、あの子に(わたしが)注意しないと、
あの子は駄目に成る! 駄目に成る! こんな声を、頭上で聞くお母さん。


わたしの人生は、失敗だった。 あの子には、同じ失敗をさせたく無い!
駄目なお母さん程、使命感に燃えるのね。 子供、えらい迷惑。

お母さん、いつの間にか、人生の先生よ。 止めてくれ! 言いまんねん。
世界でお母さん。 あなた一人だ、言うのに、それを止めて、先生に成る
んよ。 駄目なお母さんは!


今日の日本、こんなお母さん、ようけ(沢山)、居るやで。 ホンマ!


この大学、見ても、良いもの持ってるのに、過保護が彼の良いもの、台無し
に、しとるの、結構、居る。 これ、彼個人の損害。 家族の損害。

日本の損害じゃよ。


迷惑するんは、我らだぜ! 諸君らも、迷惑するんじゃぜ!



< 過去問、卒業までワシを苦しめた >


最終学年、臨床実習でも、過去問で苦しんだ。

いや、楽しんだと言うべきか。 講座を廻ると、テストが有る。 口頭試問。
過去問を使わないから、三回ともワシ、落とした。


十人中ワシ一人、不合格。 学生が心配して、久治良さん、これ使って下
さい。 ワシ、いいよ、面白がってんだから。

臨床実習のテスト、採点はするが、再試験の二千円、要らない。 過去問を
使わないと、こうなる。 恐らく百二十名中、臨床実習の過去問、使わなか
ったのは、ワシ一人だったと、思う。


何回も、何回も言う。 歯学部なんて、過去問持って、要領良く生きれば、
講義、一切聴かず、居眠りしてても、卒業できる!

過去問を使わないと、こんな学生に負けてしまう。


 *     *     *


口腔外科の先生、日給十五万円は書いた。
ワシ、臨床実習で、ある先生に聞いた。 先生の収入は、如何が?

ボク、アルバイト週二回(行き先は、講座が指定する)、日給五万です。
するとアルバイトだけで、月四十万! 年収五百万ですか、大学院を出れば
助手に採用、年収合計八百万! 二十代でその収入、悪くないですね。


もっとも(同じ年の)別の先生、日給一万円。 講座に、よりけりだ。
口腔外科、やはり良い。 補綴(ほてつ)、保存、これに次ぐ。

歯科医師も、ピンからキリだ。 三人に一人は、年収三百万以下。
ワーキングプアー、歯科医師にも有るんよ。 もっとも大抵、親が金持ち。


年収300万の先生。 ごつい高級車で、遊んどらあ!


でも、まあ、歯科医師だから、みんな、良いわけでも無い。 上と下の差、
ものすごい。

ワシの知る上の一番、年収三億。 これ歯科医師としての収入のみ、事業を
してる歯科医師、これ以上に成る。


ビルなど持ってる先生、年収十億以上らしいが、これ会社の収入になるから
正確な把握、出来ない。 ワシの知るある先生、回転寿司のチエーン店を
経営。

歯科医師の収入なんて、お小使い。 関東の諸君なら、名前を言えば
わかる、有名すし店。


どんな世界も同じだ。 美空ひばり、北島三郎になれる人。 場末の流し
でギター抱えて、歌手人生、終わる人。 人生さまざまだ。 この問題、

ワシの考え方、のち掲載する。



< 雑感 また雑感 >


彼女、スタイルが宜しい。 スラリとした脚、アメリカ人みたい。

ひざ小僧が無い。 漫画のサザエさん、ひざがコブみたい、飛び出して描い
てある。 彼女、医者の子、金持ちの子だったんで、椅子の生活してたのだ。


中国人も五世紀までは、古い日本人と同じ、床に正座した生活。 西方の
文化が、政権と共に流入して、椅子の生活に変わった。 詳しく知りたい方
中西輝政先生の、帝国としての中国を、読んでくれ。


 *     *     *


各学年は、前期と後期に分れ、ABCDのクラスが、その都度、クラス委員を
選出する。 ワシC組、見てると面白い。

女の子勝手に出てきて、委員長、A君にしたいと思います。 反対の人、手
を挙げて下さい。 反対、無し! よってA君に、決定! 


てな事を六年間、十二回した。 ワシ学生に聞いた。 君あれ、どう思う?

彼いわく、放っとけば良いんですよ。 クラス委員の仕事なんて、健康診
断でタンポン(おしっこを付けて尿糖検査)配るくらいでしょう。


好きな様にさせとけば、あんな子。 そのうち居なく成りますよ。

こんな風に学生、良く見ておる。 この辺は、感心する。


 *     *     *


雑感。 この続き、次段に書く。



*     *     *


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