* 裏本 五十歳、歯学部へ行く。( 体験記・医療系 ) * * *   < kujila-books ホームへ帰る >

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 人生に免疫力無き方、読む事なりまッせん

第 3 章 * 8 / 12
明海大歯学部・問題教授列伝
< 木阪昌知教授は歯学部の闇の帝王か? >



この第三章の問題教授列伝は実にこの、
木阪昌知(まさとも)教授を書かんとして、
企画された。

ワシの疑問。木阪教授は何故(なにゆえ)に、
明海大歯学部に於いて、かくも甚大なる権限を、
持ち得たのだろうか。

入学直後だった。ある先生に言われた。
木阪昌知教授はね。明海大歯学部の夜の帝王か、
はたまた背後霊かも知れないよ。

その後、事情が判るにつれ、ひょっとすると
木阪昌知教授は、暗闇から我が歯学部を、
支配しとるのかも知れぬとまで思い詰めた。

ともかく木阪昌知教授の隠然たる実力に、
微塵の疑いも無し。

ワシ、このページの元原稿、
生きてる頃の 西川博文教授に見せた。
教授、驚きて、センセ、こんな物出しちゃあ
駄目ですよ命無いですよだって。

西川教授にそんなセリフを吐かせる程の、
木阪昌知教授の実力だ。

よってワシ、
このページは震えながら書いとります。
教授から反応が来れば直ぐに掲載します。


*     *     *




< 木阪昌知教授の帝国について >



西川博文教授いわく、あの木阪昌知教授言う先生は、日本全国に勢力
を持っとる。 ある意味たいへんな実力者だ。

しかもあの性格だ。 そんな文、出したら、先生、どんな目に会う
か分かりませんよだって。



以下は、出すの止めんなさいと言われた文である。 出すなと言われ
ると逆に出したく成るのがワシの長所。

木阪昌知教授には出すと、予告してある。 実際出したら通知
予定だ。



反論来れば掲載す。 実力行使が来れば警察へ通報す。 その前に
救急車かな?

葬儀屋はまだ早いと思う。



************************************************************



< 新入年次での驚き >



ワシ、五十歳にて明海大歯学部だ。 入学一年次は教養課程なれど、
ここ歯学部である。

カリキュラムが進むにつれ疑問が生じた。 当時の授業割を見ると
すぐに判る如く、理科系の時間が少ない。



反対に文系と言うか、人間関係論とか行動科学などの授業が、巾を
利かせる。

何じゃいこれはと思うて聞くと、聞かれた先生、憮然たる表情にて
言うのだった。



あれはね君、木阪昌知教授の帝国なんよ。 彼の帝国の範囲だから
何人(なんびと)たりとも犯す事の出来ぬ木阪教授の神域なんよ。

あそこへ来てる非常勤の教授やら講師はね。 みんな木阪教授の子分
子飼いなんよ。 勢力範囲の先生だ。



ああ言う状態だから、ウチの歯学部は理科系の筈なのに、まるで文系
の学部みたいカリキュラムだろ。

授業に無駄なものは無いと言うけど、やっぱ考えちゃうわな。 まし
て木阪教授の息の掛かった先生ばかしだ。

あの連中の収入アップの手段にされとるわけよ。



気分良く無いよね。 ところで木阪帝国の先生方の授業は、面白い
かね?

ワシ、面白くねえと答えて置いた。 ひとつ言えるのは、明海大歯へ
来る木阪昌知教授の子分には、

歯学部出身の先生が、一人も居らぬ事だ。



医系なんである。 木阪昌知教授の人脈は医科系なのだ。 歯科系
じゃ無い。

だから、そんな系列の先生の講義は、我ら歯科医師の線と、少し
ピントが合わぬ。



学生時代は実地の経験が無いから、まだ誤魔化されるが、こうして
卒後十年の経験で見ると、

あの時の木阪軍団の先生方の講義は、宜しく無い。 歯科医師の活動
範囲からズレて居る。 さらには医系からも外れていて、

あれは一般倫理の系列だ。



だから駄目だとは成らぬが、やっぱ我ら歯科医師なんだから、歯科
医師の医療倫理の上で、一般倫理を講義すべきだ。

その欠点は、木阪昌知教授が学外へ去って十年しても、まだ改善され
とらん。



   *       *       *



しかも木阪昌知教授の帝国の領域は、少しも侵害されず、当時の
ままである。

木阪教授、本学退職後は、ご自身の出身大学(法政大学)の哲学
教授だそうだ。



なのに木阪帝国の範囲がそのままとは、親分が学外へ去っても、その
影響力が、まだ我が明海大歯学部を

隠然たる勢力範囲に、しとるらし。 死せる孔明、生ける曹操を走ら
しとるのか? (ここ若い人には理解出来ぬかも)



あれはモッサンが歯学部長の頃だ。 木阪昌知教授の帝国の範囲が
広過ぎるので、減らして呉れないかと頼んだらしい。

木阪教授、血相変えて怒り、それらの授業の必要を叫び。 最後、
握りこぶしをモッサンの顔面に突き付け、



お前を殺そうと思えば、一撃で殺せるのだぞと言うたらしい。
木阪昌知教授の空手は有名である。

明海大歯学部へ来た頃は空手の道着を着けて、体育館なんぞで稽古
しとったそうだ。



大学時代は空手ばかりしてたは、講義にて聞いた教授の台詞(せり
ふ)である。

実はワシも、お前なぞは一撃で殺せるを数回言われた。 ま、何で
すな。 法政大学の哲学科は、その程度なんでしょうか?



握りこぶしを相手の面前に突き付けて、お前なんぞは、一撃で殺せる
と言うよな哲学は、聞いた事あありません。

法政大学の哲学科は、そんな教えを授(さず)けとるのでしょうか?
だとすると、大した大学です。



法政大学の哲学科は、レベル高いと言えます。 日本一かも知れま
せん。 立派な論理ではありんすよねえ〜〜。

嫌味(イヤミ)ですが。



   *       *       *



かくしてモッサンの、木阪昌知教授への授業を減らして呉れの要請
は、拳骨(げんこつ)にて拒否されました。

ワシ、モッサンに言いました。 木阪昌知教授の力は歯学部長より
強いみたいですなと。



モッサンこと山本美郎歯学部長、アハハハッとお笑いになり。 ま、
何だ。

世の中いろいろだからねと申されました。



つまり、かくの如く、木阪昌知教授の権威は、山本美郎歯学部長の
権力より強いのでやんす。

これを見ると理事長でさえ、木阪昌知教授には一目置くのうわさ、
本当に思えて来ます。 ホントなんでしょうか?



**************************************************************



< 30期、元宝塚のマドンナ、木阪昌知教授を言う。>



マドンナに聞いた事ある。 君、木阪昌知教授と聞いて何を連想
する?

そうねえと彼女。 アドレナリン、だらだらの人。



ワシ賛同した。 アドレナリンはエピネフリンである。 アドレナ
リンは日本人が命名した。

欧米の連中、それが悔しくて、勝手にエピネフリン言うて、変えて
しまった。 アドレナリンが正しい。



木阪昌知教授の印象は、何時見ても過緊張。 全身の神経が、いつも
ピリピリ状態。

我ら29期が入学の前年に、胃潰瘍にて吐血されたそうですが、半年
で大学へ復帰し、そのタフネスで周囲を驚愕させたそうです。



そのタフと権力への執念は、どんな先生も認めざるを得ません。
しかしそれは同時に、アドレナリン、ダラダラと同義です。



   *       *       *



ある時、木阪昌知教授、ワシに言いました。 君の座ってる、その
長椅子の横の床を見よ。

その床に、いったい何名の助教授が土下座して、両手を床に付いて、
わたしを教授にして下さいと、おでこを擦(こすり)付けたか

知れない。



その頃の木阪教授は、教授メーカーと言われたそうだ。 木阪教授が、
うんと言わないと、我が明海大歯学部では、

誰も教授に成れなかったそうだ。 疑問は、なぜ木阪昌知教授に、
かくまでの権限が生じたのかと言う点だ。



   *       *       *



木阪帝国の管轄範囲が広過ぎた。 帝国の授業時間を削除したい。
人間関係論だとか行動科学の時間を統合したい。

この希望を木阪昌知教授に言うたモッサンこと、山本美郎歯学部長。
木阪教授の脅迫的言動にて沙汰止みとなった。



これを見ても木阪昌知教授は、歯学部長より強い。 教授会にて、
その場のていたらく、目撃してた歯内療法学の 故西川博文教授。

木阪教授だよ、あんな男が何で哲学倫理の教授なんだ。 ありゃ
強盗か脅迫者と呼ぶのが適当な男だ。



あんなのが何で医療倫理の教授してんだよ。
明海大歯学部はアホかと言いたいッ

と、ワシにボヤクのでした。



   *       *       *



木阪昌知教授は何冊かの本を出しておられます。 単著は知りません。
ワシの見た限りは全てが共著でした。

それを拝見しますと、木阪昌知教授。 どうも司馬遼太郎の竜馬が
行くを読んだに違いありません。



本の中で坂本竜馬が言うとります。 事業など言うものは、99%の
苦労を自分がして、

残り1%を人に譲りて花を持たせる位の気持ちで掛からぬと、出来る
ものでは無いと。



木阪昌知教授の作本にも、その竜馬の行き方が透けて見えます。
ただし竜馬と違うのは、

その本、先生方の共著に成ってますが。 実は何を隠そう、実はこの
本の真の功労者は、わたくしなんです。

木阪昌知なんですと、直ぐに分かる様に作って有る。



その辺が本物の坂本竜馬と木阪昌知教授の違いです。



   *       *       *



その典型的な例が、我が明海大歯学部21期・大井賢一先生と木阪
昌知教授の共著、歯科医療倫理だ。

この本、大井先生が書いた様に成ってますが、背後霊よろしく、木阪
教授の名が被(かぶさ)っており、



この本はわたくし、木阪昌知の助力無くしては、完成しなかったの
ですよと、語り掛ける造りに成っとります。

この辺が木阪昌知教授の、木阪昌知教授たる由縁ですな。



ちなみに大井賢一先生は、木阪昌知先生公認の直弟子です。 ワシが
木阪教授に、

先生には、弟子なる者が居るのですかと言う質問の答えが彼です。
大井先生は卒業者名簿では横浜市に居住され、



特定非営利活動法人・ジャパン ウェルネスに在籍されとります。
この法人は赤坂に所在しとります。

IT にも出てますので御覧ありたし。



************************************************************



ワシの手元には大学時代の講義ノートが、完全な形で残っとりますが、
木阪昌知教授からは、一年次に哲学。

二年次には医療倫理の講義ですが。 その講義ノートを再読しますと、
中身多くありません。 一時間で読めちゃいます。



何時だったか忘れましたが、教授に授業の準備をするのか聞きました。
すると木阪昌知教授、誇るが如くに、

わたしは講義の準備など、した事有りませんと答えるのでした。
それが自慢に成るか成らないかは各自で判断願います。



   *       *       *



木阪教授の早朝出勤は有名です。 ご自宅は確か、八王子の筈。
汽車と自家用車を乗り継いでの出勤です。

汽車は八高線(はちこうせん)言いましてな。 鉄道愛好家なら、
この名を聞いただけで思わずニンマリしたく成る、

そんなローカル線です。



木阪教授の早朝出勤。 そんな早朝に大学へ出て、何をしてるのか
と申しますと、

ご自身が中心と成りて立ち上げた、死生(しせい)学会の仕事です。
その他、厚生労働省だか文部科学省だか知りませんが、

とにかく(明海)大学の仕事では一切、無いそうです。



ワシ、そんなのを見てますと、大学の教授言う者は、一体、何者なん
だろと考えてしまいます。

教授に給与、与えて、その人、四六時中、大学外の仕事に精出して
御座る。 講義の準備なんざ、した事無し。

そんな教授、大学に取りて、何なんでしょうか?



一年分のノートが、一時間で読めちゃう。 木阪昌知教授の授業も
卒後十年の目で見ると、そんなものでした。

ホントに教授って、一体、何なのでしょうか?



   *       *       *



木阪昌知教授の教えの中で、これだけは是非とも否定せねばならぬ
事を次に書きます。

それは木阪教授の教えの精髄です。




ある時、木阪教授、病院から講演の依頼を受けて、看護士(婦)の
皆さんに話したそうです。 質問はないかと言われ、

若い看護士たち、日頃の悩み、木阪教授に訴えたそうです。 仕事が
きつい、夜勤が多い、給与が少ない、自分の時間が持てない。



その嘆きを聞いた木阪昌知教授、全ての悩みが一発で解決する決定的
考え方を教えたのでした。

それはこうです。 重労働に押しひしがれてる自分を笑い飛ばして
御覧なさい。



少ない給与に呻吟(しんぎん:うめく事)し、きつい仕事にめげてる
自分を、笑い飛ばして御覧なさい。

笑い飛ばした瞬間に、どんな苦しみも、どんな病苦も、全部全部じえ
〜〜んぶ、吹き飛んでしまいますよ。



一度、試(ため)して御覧なさい。 効果抜群ですと、木阪昌知教授
は教えたのです。

この秘訣を言う時の木阪教授は、これ以上の喜びは無いと言う顔で
目玉をグリグリとさせ、この世で最高の、絶対的な教えとして、

この言葉を口にされます。



   *       *       *



マルクスは宗教をアヘンだと言いました。 歴史的に見ると、宗教
のみならず、マルクスの教えそのものもアヘンでしたが、

マルクスが生きてた時代は資本主義の勃興期です。 工場からは
黒い煙がモクモクと立ち、



労働者たちは、低賃金と過酷な労働に苦しんで居りました。 そこで
資本家たちは教会の牧師に献金して、

過酷な条件が人間を不幸にするのでは無い。 外部条件は幸不幸に
関係しない。



人間の幸福は心の問題である。 不幸を感ずる心の問題なのだ。
外部条件が何であれ、心が豊かなら、その人は幸福を感ずる。

その心を豊かにするものは信仰でる。 神を信じなさい。 社会的
外部条件などは人間の幸不幸に関係しない。

と説かせました。



   *       *       *



これは木阪昌知教授の、どんなに過酷な生活も、苦しんでる自分も、
笑い飛ばしてしまえば、そんなもの、

へっちゃらに成りますよの教えと、同じです。



木阪昌知教授はマルクスの本を読んで無いみたいです。 木阪昌知教
授の、不幸な自分を笑い飛ばして仕舞えば、どんな不幸からも、

一瞬で解放されて絶対的幸福をつかめるとの教えは、ワシには、たわ
けた教えと思えて仕方ありません。



こんな事を嬉しそうに語る木阪昌知教授、ご自身も、どう考えても、
たわけてるとしか思えません。

問題はこの次なんですよ。 木阪昌知教授ご自身が、この教えを守っ
ておらんのです。 守るどころか正反対の行動されてるんです。



   *       *       *



木阪昌知教授の教えですと、人に止めろと言われれば、止めなくては
いけません。

出て行けと言われれば出て行かねばなりません。 あらゆる災難を、
完全に受け切って、苦しむ自分を笑い飛ばさなくてはなりません。




木阪教授は、そのようにしろと我らに言うのです。




問題はここなんですよ。 そんな教えを人に言うなら、ご自分だって
その様にすべきです。 なのに木阪昌知教授、

ご自分は、その教えと反対をするのです。



山本美郎歯学部長が、木阪教授の領域の時間が多過ぎるから、少し
減らして呉れと言われたならば、

はいと言うて、減らしたのなら判ります。 モッサンにそう言われた
木阪教授は、どう反応しましたか?



はいと言うて減らすどころの騒ぎじゃない。 あの授業は学生に絶対
必要だと言うて譲らず、

最後は握りこぶしをモッサンの顔面に擬して、お前など、殺そうと
思えば、この一撃で殺せるのだぞと威嚇したのです。

こりゃ脅迫ですよ。



木阪昌知教授は卑しくも医療倫理の教授だっせ。 哲学の教授ですよ。
そんな方が空手の武力を突き付けて、

自分の領域を死守する為に、日頃、我らにする教えに、背反しとる
やないですか。



   *       *       *



あれは23期、口腔外科の先生(女)でした。 学生時代、ワシの
アパートの階上の部屋に居られましたので、

二階の姉ちゃんと、ワシ、お呼びしてました。 この先生、木阪昌知
教授とは懇意でして、



死生(しせい)学会の大会などが有りますと、受付なんぞして、言わ
ば昔の教え子の縁での協力など、なさっとったよな方です。

その姉ちゃん、ある日、ワシに怖い顔で言うのでした。 あなた
木阪教授の言う事、真(ま)に受けてたりすると、

暗闇に堕ちるわよ。



あのセンセは、言ってる事と、してる事が、別なのよ。 そこを見抜
いて用心してないと馬鹿にされるわよ。

ワシ、二階の姉ちゃんに敬服します。 その通りです。 木阪昌知
教授は、言ってることと、してる事が別です。 反対です。



   *       *       *



この姉ちゃん、男勝(まさ)りの方で、いっその事、男にしたいよな
方です。 余りに物凄いんで、彼氏が出来ない。

もう四十過ぎなのに独身で、その辺のストレスでしょうか。 我ら
アパートの同居人は、いささか迷惑しました。



だけど言うとる事は正しいです。 木阪昌知教授は言うてる事と、
してる事が別なのです。

あんな方が、日本の厚生医療の倫理の分野で、あれ程の勢力を持つ
のも、如何かと思います。



************************************************************



< 木阪昌知教授は、名優だ。>



教授ある時、ワシを前にして、歌うが如く演ずるが如く、ご自身を
語るのでした。

木阪教授はその時、両手を広げ、あたかもオペラの一場面の如く、
言うのでした。



わたしは海だ、わたしは海だ。 あらゆるものが、あらゆる汚物が
遠慮無く流れ込むのに、押し返すこと少しもなく、

全て飲み込み無限の包容力を示す。 あの海の如き男がわたしだ。
わたしは海だ、海なのだッ



おお、この大学で、わたし程、憎まれた者は無い。 わたし程、悪口
された者も無い。

しかし、わたしは海だから、非難の全てを許容して飲み下し、海の
海たるわたしを示して余りある。



そうだ、わたしは海だ、海なのだ。 あの大海原だ。 あの大海原が
わたしだッ



わたしは海だ、海なのだッ



となかなかの熱演でした。 でもね、木阪昌知教授の本質を知ると
これに感激できないのです。

まして本質的にへそ曲がりの、ワシでしょ。 たちまち反論しま
した。



*************************************************************



つい先週、木阪昌知教授に依る、愛称オササ(生物の三笠健次先生)
恐喝事件なるもの有りましてな。

どんな事件かと言いますと、オササは教養基礎課程の生物の助教授
なんですが。



このセンセ、呼ばれもせんのに、何処へでも出掛けて行って、ロク
デモ無い事言うて追い出されるよな、変なセンセでしてな。

以前にも口腔解剖学の研究室へ入り込んで、久米川正好教授から出て
行けと怒鳴られた方です。



このオササ、木阪昌知教授(きさか)についても、歯に衣(ころも)
を着せず、とでも申しますか、

聞く人に依りては悪口と思えるよな事ども、言うとりましたが、ある
テストの監視教員で、同じ教室に配当されて、

両者パッタリの折。



木阪昌知教授はオササへ、にじり寄り。 貴様(きさま)わああ〜ッ、
わしの悪口言うとるなあ〜〜〜ッ。

許さんぞと、あの迫力にて恐喝したのであります。 恐喝いうのは、
どなりつけて脅(おど)す事で御座んす。




でもこれ、可笑しくありませんか?




木阪教授は確か、海じゃなかったんですか?  ご自身がワシに、
わたしは海だと宣言なされた筈です。

流れ込む、どんな悪口も、海の如く自分は許容するのだと、言うた
では無いですか?



それが、たかがオササ如きの悪口に、そんな、恐喝まがいの恫喝を
加えちゃ、

自身の宣言に、違背(いはい)するじゃありませんか。



とワシ、木阪昌知教授に言いますと、教授。 あの男はわしの悪口を
言うたから叱っただけだと理由を述べました。

しかしそれじゃあ先生は、海では無くなりませんか? 唯の人間に
過ぎないじゃあありませんかと、ワシは憎まれ口を叩いたので、

ありんす。



ま、身の程知らずではあります。 やがて一発、喰らいそうです。



***************************************************************



この報復でしょうか。 あれはワシが卒業、間近でした。 廊下で
会いましてな。

自分の教授室へ来ないか言うので行きますと、わしの定年退職まで、
あと二年だ。 わしの抜けた後の医療倫理の担当が、

まだ決まってないと言うのです。



久治良さんは確か、卒業後は医療倫理哲学へ進み、出来うれば大学に
採用されたいと言うとりましたねと来ました。

その為には卒後、安井利一教授の衛生学へ進むのが良い。 あそこで
とにかく博士号を取る。



博士号を取らない事には始まらない。 大学で採用の基本は、資格
だよ。 わしの弟子で21期の大井賢一先生も、

卒後は安井教授の衛生学に残り、博士号の資格を取得した。 君も
是非そうしたまえ。

と言うのでありましたが、これ、眉唾(まゆつば)なんすよ。



   *       *       *



そもそもこの時点で、木阪教授退職後の医療倫理は、手当てが既に
済んでるのです。 その情報を知ってれば木阪教授の弁は、

虚偽です。 そして哲学医療倫理の教授として、担当教科の精神に
反すのでは無いですか?



木阪教授の後任の教授は、他学科を掛持ちしながら、医療倫理をも
管理される事が、既に決まってる。

そんな既に充当の椅子を、ワシに振って見せるとは、何事(なにごと)
かいなと思うのです。

違いますか?



これ、引っ掛けです。 人を虚妄に引き込む所為です。 ワシ内心、
木阪先生、よう言うわと思いつつ、

考えときましょと返事しましたが、この辺こそが、木阪昌知教授の
木阪教授たる由縁なのです。



こんなのを真(ま)に受けて衛生学へ入ったりすると、泣きを見る
だけです。

だけどこんな、虚々実々の、人を暗闇へ引き込むよな提案するよな
人物が、何で医療倫理・哲学の教授なんじゃろね?



少なくともこれ以後、ご自身を海だなんて、かっこええ事、言うなっ
つうの。

木阪(きさか)先生、出身大学(法政大学)の恥どっせ。



************************************************************



木阪昌知教授に、お前はわしの悪口を言うとるな許さんぞと恫喝され
たオササ。 一週間ばかり、おろおろに成りましてな。

木阪教授の迫力を、まざまざと見せ付けられました。



   *       *       *



もう十五年の昔に成ります。 木阪昌知教授、ワシに、現在の私大
歯学部の内。 五校は、五年以内に潰れると予言されました。

しかしまだ、一校も消えてません。 だから言うて、教授の予言が
外れたわけでも有りません。



消滅に向けて事態は、じわじわと進行しとります。 新入学生が定員
割れしとる歯学部が、かなり出てます。

我が明海大歯学部も募集定員すれすれです。 倍率無しです。 受験
すれば全員、採って貰える状態です。



木阪教授は消滅大学名を言いませんでしたが、奥羽とか松本とか日本
歯科大新潟分校なんかが、その候補です。

北海道医療大も確か、入ってた筈です。 一般の方は、松本なんて
言われても松本歯科大(塩尻)とは出ないでしょう。



とにもかくにも私大歯学部五校の消滅が、間近に迫ってます。



*************************************************************



木阪昌知教授の奥さん、ミス横浜だったこと、ご存知ですか。 他人
には、あらゆる事を、そのまま受け入れろと言うて、

苦しむ自分を笑い飛ばせば、全ての苦から解放されると教える木阪
教授。



ご自身は美人を女房とし、獲得した領域は、威嚇恫喝して譲らず。
お前なぞは、この一撃で殺せるのだぞと、

拳を相手の顔面に突き付けて言う 木阪昌知教授。



法政大学の哲学は、その程度なんでしょうか? 木阪教授は、明海大
歯学部を退職して、出身母校の法政大学にて、

哲学系の教授を、されてるそうです。 古巣に戻ったわけです。



明海大で、いよよ退職の頃。 ワシを捕まえて、自分には医科大学
六校から、オファーが来て居ると言うたのは何ですか?

法政大へ帰るなら、そんな風呂敷、無用でしょうに。



   *       *       *



木阪昌知教授、明海大学時代、女の子が六百名。 わたしの所へ人生
相談に来たと言うてましたが、

これ案外、嘘で無いらしいです。



だけど、ワシの見る所。 木阪昌知教授への悩み事相談は、お止めに
なった方が無難だと言えます。

木阪教授の教えなどは相談の前に、返答が知れてるからです。
人生の苦難は全てそのまま受け入れて見たらどうですか?



その苦しみに、抵抗するから苦しく成るのです。 悩みや苦難を、
そのまま少しの抵抗もせず、

苦しんでる自分を笑い飛ばして見ませんか?



我が身に、苦難の全てを受け入れる決心さえすれば、悩みなんて、
一瞬で消滅しますよと、

木阪昌知教授は毎度、教え、のたまわれるのであります。 ただし
この教えは、相談者への言葉でありまして、

教授自身は別の行動をしますから心得て下さい。



木阪昌知教授、ご自身と来た日には、あらゆる抵抗を試みて武力さえ
チラつかせ、脅迫めいた言辞も、ためらわず吐き、

自身の領域から、一歩たりとも後退しません。 運命を受け入れる
所か、死力を尽くして自身を守るのです。



だから教授は、なさってる事と、おっしゃてる事が、まったくの別物
だと申すのです。

反論できますか?



*************************************************************



判らんのは木阪昌知教授が退職して、学外へ去ったのに、明海大歯
学部での木阪帝国の範囲には、何の縮尺も無いことだ。

木阪昌知教授の底力からでしょうか。 空(そら)恐ろしいとは、
これです。 そこまでの力の源泉は、

一体、何なんでしょうか?



*************************************************************



さて木阪昌知教授について、最後に成りました。 最後に書くのは
木阪軍団の面々です。

これを木阪帝国の臣民とも申します。 この連中の存在が、木阪帝国
の領分を規定しとります。



最初に申し上げときますが、木阪昌知教授の帝国の住人に指名され
ても、名誉では有りません。

なぜなら木阪教授は、本当に出来る人間、将来大成しそうな奴は、
何と無しに排除するからです。



ですから木阪昌知教授の帝国の面々を見ますと、どこかに必ず駄目な
部分が有ります。 欠陥を持つ先生方だと知れます。

ですから木阪昌知教授に可愛がられるのは、有る意味、恥なんすよ。
判りますか、この点が。



   *       *       *



最初に木阪帝国の構成員の、お名前から列記しましょう。 順不同
です。



坂本堯(あきら)先生は、聖マリアンヌ医科大学教授。
一戸真子教授は、我らの頃は東大大学院保健学科なれど、

現在は上武大学教授。 出身大学は木阪昌知教授と同じ法政大学
です。



櫻井弘木教授は、何処で何してんのか良く判りません。
橋本佐由理先生は筑波大学の、あの有名な行動科学の宗像恒二教授

の下だそうですが、恒二だったか恒次だったか忘れました。 とに
かく宗像教授のとこで准教授されてます。



   *       *       *



ワシは再度言います。 木阪軍団のメンバーに成っても、それは名誉
じゃ無いと。

ワシらの学年が講義にて見た、以上四名の先生方は、いずれも一短を
有しとります。 そしてその一短が有ったればこそ、



木阪昌知教授は、メンバーに呼んで呉れたのだと言います。 ワシの
この文に文句の有る方、反論されたし。

受けて立つ覚悟、当然、用意してます。



*************************************************************



さてそんなわけで、この続きは、ページを新(あらため)ましょう。
次ページにて、論じます。









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