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く じらの 雑誌　*　食い物 裏話　第二話 ＜　お米の真実。　ひとくさり　＞

＜　 　毎日食べてる、お米の真実。　ひとくさり　　＞ ワシ、お米には、五月蝿い（うるさい）。　一家言、有る。 秋、東京の近郊。　電車の窓から、はさがけの稲が、見える。　のどかな風景だ。 かいがいしき農家の皆さん。　ありがとう！ 美味しいお米が、取れてるよなあ。　と、諸君らは思うだろう。　だがね。 そう思う人、素人なんよ。　ワシなんか、あれ見ると、腹が立ちまんねん。　ドン 百姓めが！　と思ってしまう。　なぜか？ お米を、はさ、に掛けて天日で干す。　手間が掛かる。　あれ実は、テメーらの家 庭の、自家消費米なんよ。 あのお米は、ワシ等の口には入らんのだよ。　農協へ出す米。　石油で乾かしちゃ う。　ぞんざいに作るから、もともと不味い米。　いよいよ不味くなる。 そもそも、田んぼの土が違う。　作り方が違う。　乾燥の仕方が違う。 これじゃあ、美味い米に、成るかいな！ 諸君ら。　ドン百姓の自家消費米。　食べた事あるか？ ワシ鉄工所時代。　アルバイトに来てた、ドン百姓を脅迫して、自家消費米。 １キロばか。　手に入れた。　そいつ、ワシが昼飯喰ってると、笑うのよ。　そん な不味い米、よく食べれますね、だとよ。　　そこで脅迫して１キロばか、手に入 れたんよ。 諸君らは、キロ８００円以上の、魚沼産のコシヒカリ。　買った事あるか？　ワシ も魚沼産のコシ。　あちこちで買ってみたが、どれも美味くなかった。 ワシが脅迫して手に入れた、１キロの米。　ただの農林２８号よ。　平凡な品種な んよ。　なのにホッペタ、見事に落ちたね。 本当に、美味しかった！　オカズなんて要らない。　お米が最高のオカズ。　コク のあるお米の味。 化学肥料をパッと撒いて作った米。　ありゃあ、米の形をした、別の物よ。　一度 冷や飯で、食べてくれ。　冷や飯は、お米の実力。　もろに出る。 本当に美味しい米。　冷やでも美味しいのだ。 あの１キロの米。　ほどの米。　その後、口にしたこと無い。　大学の時、若い連 中に言ったのよ。　君ら、ドン百姓の娘を、貰（もら）えって。 秋になるとホッペの落ちる米が、来るぞって。 次の秋。　注意して田んぼ、見てくれ。　化学肥料をパッと撒いた、その形に、お 米が波状に実ってるぞ。　欲の深いドン百姓。　沢山の米、採ろうとして、ドバッ と撒くだろ。　頭でっかちの稲。　倒れてしまうのさ。　実が重くなり過ぎて倒れ るんだよ。　化学肥料だからねえ。　ちっとも美味くない。 稲と一緒に、雑草の生えてる田んぼ。　昔は恥だった。　今、平気です。　どうせ 農協へ出す米だもの。　自分で食べる米じゃなし。 ドン百姓は、そんな気分で、田んぼ。　放ったらかし。 心がけが悪いのよ。　百姓も歯科医師も、心掛けが、第一じゃよ！ 　*　　　　　　*　　　　　　* 家で食べる米だけ、別誂えで作るなんて。　ワシは許さん！ 東京のゴツイ金持ち諸君。　時価の三倍出して、心がけの良い百姓に、本当に美味 しい米。　作らせて見ないか？ 田んぼの土を良くするだけで、五年は掛かる。　土を良くするには、牛が居ないと 駄目なの。　知ってたかな？ 魚沼産？　コシヒカリ？　そんなん関係ないぜ。　農林２８号で十分だよ。（農林 ２８号は、駄洒落） 冷やで食べても、美味しい！　と、声の出るよな米を、ワシは食べたいっ！ そんなお米。　二十年、喰ってねえなあー。　昭和四十年頃。　妙高（新潟県）へ スキーに行ったりすると。　帰りには、必ず。　お米を２０キロだ。 手に握ると、ずしりと重かった。　今の魚沼産コシ、軽い軽い。　本物でなかった りしてね。　生産量の２０倍、流通しとるそうだかんね。 あれは、苗場の帰りだった（スキーの）。　魚沼の農家で、直に買ったこと、有る。 キロ１２００円だったよ。 あれもマサカ？　偽物？　大して感動しなかったが。 　*　　　　　　*　　　　　　* こんな次第だから。　最近、ゴハン食べてると、腹が立つ。　ドン百姓め！と、罵 （ののし）りつつ食べておる。 これじゃあ、ベトナムの米の方が、美味しいよ。　値段も安いしね。　ベトナムの 米を、こっちの値段で買ってあげたら。　向こうのお百姓さん。　感激して、それ こそ全身全霊。　丹精込めて作ってくれるかも。 その点、中国は、アカン。　国土に、奥行きが有り過ぎる。　重金属、出て行かな い。　今の調子で工業排水、出しとると。　中国の農業は、駄目になるぞ。 復元に、おそろしい時間が、掛ってしまう。　その間、１３億の人間に、どうやっ て食べさすの？ それこそ５億になるまで、内戦だよ。　これ２１世紀の大問題。 浜田和幸氏の本に依れば、中国の人口は、２００８年現在。　１６億人だそうだ。 公称、１３億だから。　一人っ子政策で登記しなかった人間が、三億人ばか、居 るって事になる。 この辺の問題は、この本の範囲を越えている。　別の場所で論ずるよ。

（　第二話　完　）

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