*　裏本　五十歳、歯学部へ行く。（ 体験記・医療系 ）　*　*　*　　 ＜　kujila-books　ホームへ帰る　＞ ＜　この本の ホームへ帰る　＞ ＜　前のページへ帰る　＞ ＜　次のページへ進む　＞

人生に免疫力無き方、読む事なりまッせん！ 第　３　章　*　４　/　１２ 明海大歯学部・問題教授列伝 ＜ 安井利一教授を論ず ＞ ＊ 衛生学 安井利一教授は、 歯学部長歴任の後、学長に成られた。 ま、明海大学に於いては、 位人臣を極められたわけだ。 安井利一教授を考察すれば、 誰であれこの強運に脱帽せざるを得ぬ。 卒後ワシの残留した講座がエンドだったので、 故西川博文教授から安井利一教授について、 嫌と言うほど聞かされた。 と言うのも西川教授は安井先生の教授昇格に、 反対の旗振りしたからだ。 以下、それを記す。 *　　　　　*　　　　　*

＜　大学に於ける安井利一教授のイメージ　＞ ワシ、女の子に聞いた事有る。　君、安井利一教授と聞いて、何を 連想する？ そうねえと彼女、小首を傾（かしげ）ながら、あの先生は必要な時 にしか大学に居ない人、みたいに見えるんだけど、 何時も何処で何をなさってるの？ そうだそこが問題なのだ。　ワシ答えて言うたった。　安井先生はね、 ご自宅で、奥さん名義の歯科医院で、仕事してるのさ。 必要な時だけ大学へ出て、それ以外の時間は奥様とご一緒に、患者様 をご診療なさってるのだと言うたのだ。 すると彼女、ええ〜ッと驚きの声。 本当に？　本当にそんな事してるのと、吃驚（びっくり）して言うた。 ちなみに奥さんも本学の卒業生（６期）である。 安井利一教授は２期だから後輩なんである。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* あれはワシの卒後一年目の秋だった。　ワシ、生活費の関係で埼玉県 久喜市吉羽、本学五期生、エリ子先生の歯科医院に勤務した。 この先生の旦那も本学卒で、十五期の安彦先生なんだが、ある日、 この安彦先生が、移動中の車の中にて、ワシにこう言うた。 久治良先生は衛生学の、安井利一教授を知っとるかと。　ワシ、 知らいでか（もちろん知ってますよ）と返事した。 その安井先生が、どうしたのですかとワシ。 安彦先生いわく、あの（安井）先生だけど、ご自宅の診療所で、 インプラント、打ちまくりだそうだ。 その数（かず）たるや、ウチの（明海大歯学部口腔外科の）月間本数 より多いそうだ。 それ聞いてワシ、思わず、ヒエエ〜ッ と、言うてしもたがな。 （言ってしまいましたよ。） 安彦先生、確かな筋から聞いた話だから間違い無いとの返事。 ワシ、車の後部座席にて腕組みした。　そしてウウ〜ムと唸 （うなっ）てしまった。 安彦先生は、補綴課の（ほてつか：入れ歯の）非常勤講師である。 定期的に明海大歯学部へ行っておられる。 仲間から仕入れた情報なんでしょ。　それにしても、インプラント そんなに打ちまくりだと、 年収が２〜３億と成る。　教授の年収の他にだ。　ワシは腕組みして、 も一度、ウウ〜ムと、うなってしもたがいな。 （うなってしまいましたよ。） 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* そんな内職しとりゃ、大学なんて、行く気に成らんわな。　必要な 時だけ顔出して、 後は女房と肩並べて、インプラント打ち捲くってた方が、良いに 決まってます。 な、なあるほど、安井先生は、そんな事しとったんかいなとワシ。 深い深い嘆息に暮れたのでありんす。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* さてこの原稿の為に、ある先生に、安井先生のインプラントについて 取材した。　すると疑問視された。 あの先生（安井利一教授）、そんな、本学の口腔外科より多いイン プラントを打ってるなんて、何かの間違いだ。 あの先生、大学へも出ずに、ご自宅の診療所で稼いでるのは昔から 有名だけど、 まあせいぜい自費診療か、その程度じゃ無いの？　あの先生がイン プラント打ちまくりだなんて、初耳だよ。 この先生は歯学部の職員だから、時々大学に顔出す非常勤の先生より、 情報は正確だろ。 そこでワシ、くだんの安彦先生に、事の真偽を問い合わせたのだが、 返事がまだである。　来ればここに加筆す。 *************************************************************** 安井利一教授が教授に昇格する際、これが問題に成ったのだ。　大学 へ来るのは必要な時だけで、 後はご自宅にての内職を問題にしたのが、他ならぬ、卒後、ワシの 入局したエンドの教授たる、今は亡（な）き、西川博文教授だ。 空席に成った衛生学の次期教授は、誰がどう見ても、安井利一助教授 の昇格である。 それを西川博文教授、教授会にて（赤）旗振って、あんな大学へも 来ずに、自宅で内職に精出しとるよな人は不適である。 あんなのを教授に昇格させたら我が大学は、利用されるだけに成る。 西川博文教授は無謀にも、主張したのだ。 賛同した教授が多数を占めたので安井先生、その年の教授昇格は成 らず、一年、足踏みさせられた。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* 西川博文教授、ふたこと目には、ワシに言うたものである。　あれで、 安井利一教授は、わしに恨み骨髄と成った。 安井先生はしかし、同級生（坂戸市開業と言う）に応援団を得て、 理事長にも根回し、して、次の年には目出度くも、 教授に昇格した。　ま、ま、みんなみんな、仲良く仲良く。 だったそうです。 このセリフはイクさんの十八番（おはこ）だ。 *************************************************************** ここまでの話を聞いた女の子、フウムとため息付いて、でも私が安井 先生だったら、大学の教授のくせして 自宅で診療なんか、してるのだったら、大人しく衛生学の教授だけで 満足して、後は首をすくめてるわ。 そんな事してるくせに安井教授みたい、歯学部長に成ろうとか、最後 学長でしょ。 私だったら絶対そんな事しない。　衛生学の教授だけで満足してる。 久治良さん、そう思わない？ 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* 安井利一教授は確かに歯学部長どころか、明海大学の学長にまで登り つめた。 大学内で、位（くらい）人臣を極めたわけだ。　事の良し悪しはとも あれ、大変な事ではある。 ワシが強運と言うのも、ここからだ。 以下、安井利一教授とその衛生学講座に関して、思い付くままに 筆を進める。 *************************************************************** ワシらの六年次だった。　臨床実習の頃である。　ある先生から、 こんな事を言われた。 久治良さん、卒後はどうなさるお積りですか？　安井利一教授の衛生 学に残りませんか。　あそこは良いですよ。 あそこが本学で一番、和気藹々（あいあい）です。　臨床の専門的 技能って言う観点からは、ちょっと弱いですが、 その分、全般的に見れるし、スタッフの先生方には優しい人が多い です。 これ、卒後の参考にして下さいと。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* ワシ、その方に感謝してお礼、言うといた。　確かに安井利一教授の 衛生学は、フレンドリィーな講座の感じがした。 だけど、ワシが臨床実習にて見た限りなれど、衛生学にはインプ ラントの、イの字も無かった。 痕跡も無かった。 それでいて安井利一教授が、自宅の診療室で、そんなインプラントの 打ちまくりしてたのなら、 そりゃ安井利一教授は犯罪的と言える。　大学の自分の講座内では、 インプのイの字も言わず、 自分ちで、インプラントの打ちまくりなら、学長どころでは無い。 そんな教授は大学から追放すべきである。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* 安井利一教授の講義は、今から思い出しても、ソツの無い、上手い 講義だった。 あの辺の能力こそ、ご自宅で診療しながら歯学部長に成り、はては 学長にまで昇れた秘訣だろ。 ＩＴ（インターネット）では、安井利一学長の、学長として、これ からの抱負の如き文章に会える。 読むと、安井利一学長は、あたかも革新を志向した若々しい息吹に 富む、新鮮な人物の如く想像されるが、 実態の安井利一教授に、そんな斬新さは無い。　そりゃ当然だ。 斬新とか改革とか言うものは、 人と制度の有り方に手を加えるものだ。　当然、痛みを感ずる者が 出て反発が起こる。 モッサン（故 山本美郎歯学部長）を見よ。　あの先生こそ、革新の 体現者だったが、 同時に、あれ程、クソ味噌に悪口を言われた先生も無い。　悪口は 改新者の宿命である。 改革なんて、そんな恐ろしい事、安井利一教授が、するわけ無い でしょ。 ワシがもし、安井学長の改革の犠牲者にされたなら、直ちにこう言 うて反撃します。 安井先生、毎日毎日、大学へも出ずに、ご自宅にて診療され、こっ てり儲け、られてたにしては、 おっしゃってる事、美（うつくし）過ぎませんか？　わたくし片腹 （かたはら）痛う、お聞き申し上げとりました。 奥さん名義の歯科診療所にて、ご内職されてたので、教授昇格が 一年足踏みでした。 そんな方で有られるにしては、態度、大きく有りませんかと、ワシな ら嫌味（いやみ）たっぷりに、安井学長に言います。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* これを見ても安井利一学長が新しい事なんぞ、一切お出来、申し上げ ないのでござんす。　（一切出来ないのです。） 歯学部長時代も、そうでした。　言うとる事は、なかなかに厳（き びし）き様なれど、実際行動は有りません。 我らの臨床実習でも、頭髪のみだらな者は廊下へ出して、実習から 排除する場合も有り得るなどと、 学生を、ビビラセましたが、実際は何も有りませんでした。　ボサ ボサ髪から茶髪から金髪まで。　全〜部出ましたが、 お咎（とがめ）、一切有りませんでした。 安井利一教授学長の弱点が判れば、先生のはお言葉だけ、文章に書く だけだと、すぐさま理解出来ます。 皆々様方、安井学長を評価される際は、表面に現れた言葉だけでの 判断は、暮れ暮れもご遠慮下さい。 安井先生は急所さえ押さえれば、何の恐怖も無い方です。 *************************************************************** あれはワシらの一年次でした。　ワシ、大学でのテストにて過去問 なる物を初体験しました。 その、余りにけしからん実態に憤慨して、大学の学事課へ、抗議、 申し上げました。 学事課を経由したその時の対応が、（当時）教務部長だった安井利一 教授です。 教授の返答は、対応策など、一切取らぬ。　過去問を求めて、先輩や 同僚の学生と仲良くするは、 将来の歯科医師の仕事に役立つから、君もそうしたまえ。　よって 対応策など取る積り、一切無しの回答でした。 要するに安井利一先生の行き方は、これに尽きるのです。　何も しない。　現状を維持する。　みんな仲良く仲良くです。 安井先生が仮に改革したいと言うならば、それを止めさせたい時は、 ワシが、これまで書いた方法にて反撃すれば、 一発でギャフンですから、怖くも何とも有りません。 それだけです。 *************************************************************** 安井利一教授の衛生学講座が、和気藹々（あいあい）なのは認めます が、この衛生学の教授範囲。 歯科医師の国家試験では毎年、かなりの比重にて受験生を苦しめ とります。 衛生学、範囲が、メチャンコ広い。　勉強しようとして、その余り なる広大さに、我ら、たじろぐのであります。 これを書いとる現在、衛生学講座のスタッフの先生方は、安井利一 教授以下、准教授が御三名居られます。 清水良昭、竹下玲、松本勝の各先生方ですが、講師は不在です。 助教（今は准教と言う）は三名です。 この助教の中に以前、我らと同期（２９期）の末続（すえつぐ） 真弓先生が居られました。 ここで言いたいのは、衛生学の歯科医師国家試験の対応に、今ひとつ ご注力を願いたい事です。 少なくとも、ワシには、そう感じられます。　つまり国家試験の 出題から、少々外れてます。 *************************************************************** ＜　安井利一歯学部長、学長と成る。＞ 大学の中では学長が最上位。　位人臣の極みであります。　出世の 極地なんですが、ワシには、いまいち、 安井利一教授の学長就任に、拍手する気が起こらんのです。　安井 教授が、なぜ歯学部長から学長へ昇格したのかと言うと、 イクさん事、宮田侑（すすむ）理事長が、材料学の中嶌裕教授を、 歯学部長にしたかったから、それだけです。 中嶌裕教授は医師だったお父さんが、本学創立者の宮田慶三郎理事長 を囲む七人の侍の御ひとりでした。 アメリカはテキサス大の歯学部材料学講座にて講師しとったのを、 教授じゃ無しに、一段上の歯学部長約束にて、 イクさんが本学へ、強引に引っ張って来たよな仁（じん）なんです。 我らの目から見ても、自由投票なら安井先生より、 この中嶌裕教授が歯学部長に選ばれたと感じます。　その中嶌先生を、 歯学部長にしたくて、イクさん、 安井先生を学長へ祭り上げ、中嶌裕教授を歯学部長にしたと言うのが、 偽らざる真相だろと、ワシ、思ってます。 　　　*　　　　　　　*　　　　　　　* しかしそんなのは、どうでも良ろし。　歯学部長外（はず）されて、 学長に祭り上げられるなんて、そりゃ安井先生、 物凄い幸運ですぞ。　外された人は大抵、どっかへ捨てられて終る のに、学長へ捨てられるなんて、 これを大吉と言わずして何を幸運と言うのだ。　です。 安井利一教授は、大運の人であります。　ご自宅の診療で、かあちゃ んと一緒に金儲け、なんか、しとりながら、 教授どころか歯学部長に成り。　挙句に学長に押し上げられた のです。 これを大運と言わずして、何を大運と言えば良いのですか？ 教えて頂きたい所です。

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