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 人生に免疫力無き方、読む事なりまッせん

第 3 章 * 11 / 12
明海大歯学部・問題教授列伝
< X線 奥村泰彦教授を評す >



X線 奥村泰彦教授を評す。
このページは、それだけだ。

それだけである。




*     *     *




< X線 奥村泰彦教授 >



我が29期の学生に依ればだが、本学で一番楽しとる先生は、教養
課程で体育の、畠山栄一准教授にてあるらし。

ワシも一年次と二年次の体育の授業にて、お会い申したが、出席取っ
た後は、女の子らと雑談にて時を潰し、



授業の終わりにまた出席取って、それでお仕舞い。 講義はあんちょ
こ本を棒読みするだけ。

テレビ番組を録画した奴を観せ、感想文の提出では、ライスカレー
の作り方を書いた学生が高得点。



余(あんま)りなんでワシ、ちゃんと読め、この薄野呂野郎メッの文
入れといたが、反応無かった。

全然、読んで無い。 けしからん給与泥棒ではあるか? 畠山栄一
先生の嫁さんは、隣接する城西大学の教員だそうだ。

何の学科かは聞き漏らした。



すると畠山栄一先生ちは、二馬力だ。 定年退職後は年金が、合計
600万を越える計算。

極楽夫婦と言うべし。 せめてこの文にて、お灸を据えとくのが、
我らのせいぜいなる、抗議ではあある。



   *       *       *



論文の提出では、材料の日比野靖先生と、基礎物理学分野の山田英彦
先生が、キチッと目を通して下された。

我ら学生は両先生を、表彰したし。



   *       *       *



我が29期の学生に依ればだが、これから述べんとする放射線学の
奥村泰彦教授も、畠山栄一先生に劣らぬ程、楽されとると

言うのだが、ワシは個人的には、奥村泰彦教授が贔屓(ひいき)
なんで、そんな説が有るって事のみにて次へ行く。




んだけど、奥村泰彦教授、講義は良ろし。 問題はその時間以外で
一体全体教授は、何をなさって居るのかと言う疑問だ。

いったい、何をなさって居られるのでしょうか?



大学病院へ来られた患者さんは、たいてい、まずはX線科へ行かさ
れる。 レントゲン写真を撮られる。

これをしないと次へ進めないから。 だからX線科は、新来患者の
数だけ仕事が有るわけだ。



つまり目茶苦茶、忙しいのが放射線科だ。 その忙しい臨床室にて
我ら、奥村泰彦教授を見た事ない。

仕事は全部、准教授の高橋伸年先生に丸投げ。 この高橋伸年先生は
たかはし・のぶとし、と読みますが、



我らふざけて、しんねん先生と呼ぶ。 つまり高橋信念先生である。
しんねんと正確に読まれよ、ちんねん(珍念)と、

故意に間違えて読むは無礼なり。



これ日比野靖先生を日々の努力先生とお呼びするのと同じで、かくの
如くしてX線科の臨床は、信念先生が(お一人で)

仕切っておられる。



奥村泰彦教授なぞ、我らの六年間に、臨床現場では、一回も一瞬も
見た事も聞いた事もない。

いったい奥村教授は、講義以外の時間、何をされとるのでしょか?
何名かの先生に聞いたけど、誰も知らなかった。



安井利一教授(歯学部長・学長)の如く、ご自宅の歯科診療所にて、
内職されとるよな噂(うわさ)も聞かぬし、

どっかの別大学で講義しとるよな話も聞かぬ。 かと言うて研究に
リキ(力)入れとるよな気配も無し。



一体全体、放射線科の奥村泰彦教授は、講義以外のぼう大なる時間を
どう潰しておられるのか、

ご存知の方は、おおしえ(教え)願いたい。



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奥村泰彦教授の放射線科、我ら29期が卒業の後、スタッフのメン
バー、大巾に変化した。

と言うよりメンバーの過半が独立開業して、賑(にぎ)やかだった
溜り場も閑古鳥なんだが、この際、苦言をひとつ呈したい。



高橋信念(伸年)准教授は除外する。 この放射線科、スタッフの
先生の選定に、ワシ、いささか抗議する。

教育機関に相応(ふさわし)からぬ先生が、混じって居るからだ。
そんな先生は独立開業すべきである。



ご自身で仕事する限りなら、どんな生意気も、そりゃその先生ひとり
の問題である。 だがしかし大学は教育機関だ。

大学に採用されて学生の教育に従事するとなれば、けしからん行為は
有害である。



その点に関してワシは、奥村泰彦教授に文句言う。 およそ教育機関
に適合しない者を採用してはならぬ。 まして昇進させるとは何か。

この点の再考を求むものである。



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また留年者の教員採用は、大学全体の検討課題ではなかろか? 東京
医科歯科大歯学部は、大学院や研修歯科医の採用に際し、

留年者は除外す。 我が明海大歯学部も、留年者を採用する時は、
その留年の程度を量るべきかと思う。

如何(いかが)なるや?










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